愛猫家なら誰しもご存知の通り、ねこはマタタビに目がありません。その香りを嗅ぐと、地面につっぷしゴロゴロ。ねこがマタタビに寄る仕草はさながらお酒に酔っぱらっているようとも言われます。そんなマタタビですが、ねこはなぜマタタビが好きなのでしょうか? 本記事では、そのメカニズム、秘密に迫ります。
結論から言うとメカニズムは「よくわからない」
ねこと人類の付き合いは深く、また、ねこがまたたびを好む、またたびを前にすると酔っ払ったような不思議な行動をとることは、昔から知られています。
が、実はそのメカニズムはというと、正確なところはあまりよく理解されていません。
ねこの生態について動物学者が記し、全米でベストセラーとなった1冊、『猫的感覚』(ジョン・ブラッドショー著/早川書房)には次のように書かれています。
(ちなみに、日本ではマタタビですが、西洋ではキャットニップが「ねこの好物」とされ、ねこが同じような反応を示すことが知られています)
どうしてネコがキャットニップに反応するのか、科学者はいまだに理解できずにいる。すべてのネコがそれに反応するわけでもない。そのネコが反応するかどうは、たったひとつの遺伝子が司っている。そして多くのネコ、おそらく3匹中1匹は、この遺伝子のどちらのコピーにも欠陥がある。(p.173)
キャットニップで誘発された忘我状態のただ中にいるネコは、攻撃に脆弱なように思える。となると、ネコはこの経験から永続的な利益は得られないので、本来なら進化によって、キャットニップに反応する遺伝子は根絶やしにされたはずだ。だがライオンからイエネコまで、ネコ科動物のほとんどの種がこうした植物に同じように反応する。したがってこの遺伝子は何百万年も前に出現したにちがいない。どうしてそれがいまだに残っているのかは謎である。(p.175)
3匹中1匹はまたたびが効かない、ネコ科動物は皆マタタビが効くなど、ねことマタタビについて知られていることもあるけれど、要するに「なぜマタタビが効くのか」「何のために?」となるとわからないことばかりということのようです。進化の役にも立ってませんしね…..。
マタタビに含まれる成分。その名もマタタビラクトン!
詳しいメカニズムは不明なことも多いのですが、ねこが反応している成分については、研究がなされていないわけではありません。徳島大学薬学部にて植物成分の研究をされている生薬学研究室の柏田良樹教授(薬学博士)にお話をお聞きしました。

「マタタビ反応の研究は古くからあるようですね。その作用と成分に関しては、1966年に出版されている『化学の領域 増刊号 天然物化学』74巻71ページに目武夫博士による総説に詳しく記載されています」
「マタタビの果実を水蒸気蒸留して得られる精油※をネコ科の動物に与えるとグルーミングをするという研究は古くからあります。そしてここにいくつかの香りの成分が含まれているのですが、これらを総称してマタタビラクトンと呼ばれています」
「マタタビラクトンはマタタビ以外にも、シソ科植物のイヌハッカ(
※※植物名に使われている「イヌ」は,

マタタビ酒をつくってねこと一緒に楽しもう
マタタビはねこだけでなく人間も楽しめるのをご存知ですか?そもそもマタタビという名前も「口にすると元気になり、また旅に出られる」ことからついた名前だとも言われています。
代表的な食べ方は「マタタビ酒」。木天蓼(もくてんりょう)と言われる種類のマタタビをホワイトリカーに氷砂糖と一緒に漬けておき、2ヶ月〜半年ほど待つと完成。またたびのエキスが抽出され、きれいな黄金色のお酒ができあがります。
リュウマチ、痛風、また冷え性に効果が高いということだったので、筆者も試しにつくってみたのですが、お酒の効果もあってか、少量飲むととにかく温まる!周囲に配り歩いたところ、とにかく公表でした。冷え性に悩まされている方には特に強くお勧めしたいです。
ねこはそのまま、人間はマタタビ酒にして。寒い冬目前、一緒にマタタビを楽しむなんていかがでしょうか。
