地域猫という活動
ーーー現在、野良猫に避妊去勢手術をして、元の場所に戻すという活動もありますよね。
古川: 地域猫活動ですね。主に県が行なっている事業なのですが、野良猫がそれ以上増えるのを防ぐために、希望があった地域のねこに避妊去勢手術をします。飼い主がいないことに変わりはないのですが、野良猫は一代限りになる、ということですね。
ーーー地域のボランティアが主導している活動、ということですよね。
古川: おっしゃる通り、ボランティア主導の活動です。ただ、一部のボランティアだけの活動ででは駄目です。その地域に地域猫活動に対する理解・協力がなければいけません。
ーーー避妊去勢手術の費用はどこが負担することになるのでしょうか。
古川: 県です。ですので、ボランティアの方や指定された地域の方は、お金の負担はゼロです。
どこで地域猫活動をしているのか?
ーーー具体的に徳島でも地域猫活動をされている場所はあるのでしょうか。
古川: あります。ただ、どこのエリアが地域猫活動をしているのかは教えることはできません。その地域が地域猫活動をしていると知られると、そこにならねこを放してもよい、お金をかけずに避妊去勢手術をしてもらえると考える人がいるかもしれないからです。地域猫活動の効果についても、様々な意見があります。外部から隔離された島のような環境であれば、一斉に避妊去勢手術をすることで野良猫の増加を抑えることができるかもしれませんが、そうでない場合、一部のエリアでのみ手術を実施しても、他地域からねこが入ってくることも考えられるからです。ただ、去年の11月くらいから、センターに入ってくるねこの頭数も減っているのも事実です。地域猫活動の効果もあるのではと個人的には考えています。
徳島県動物愛護管理センター 企画衛生担当の早川直輝主任にも、地域猫活動についてお聞きしました。
早川さん(以下敬称略): 地域猫活動により、野良猫の増加を抑えることはできたとしても、ねこがいるかぎり、うんちやおしっこはします。ですから、我々としては、ねこがその地域にいてもよいというお墨付きをしているわけではありません。あくまで地域で野良猫を増やさない、そのためのお手伝いをしているというところですね。ですから、地域名や写真など、地域が特定される情報の開示は避けています。

ーーー「地域」とは基本的にはどの範囲を指すのでしょうか。
早川: それは自己申告です。それこそ四つ辻くらいの広さのときもあれば、町会、町内会規模まで幅広いですね。ですが、たとえば四つ辻の範囲で申請いただいても、猫が行動する範囲はそれよりは明らかに広いですよね。ですから、その周囲の住民に対しても、地域猫活動について説明し、理解、了解を得てくださいとお伝えしています。
ーーー先ほど地域が特定される情報は避けているとおっしゃっていましたが、この地域猫活動を皆さん、どこで知るのでしょうか。
早川: クチコミは多いですね。既に地域猫活動をしている方から話を聞いたという方が多い。また、ねこで困っているという苦情が、センターや、市町村に対して入った時に、「地域猫という活動がありますよ」と紹介したりしています。もっと知っておいてもらいたいところなんですけどね。
ーーー本当であれば、ここも、そこも地域猫活動をしています、おかげで猫が減りましたとアピールできればいいのですが、それができないのが辛いところですよね。
早川: そうなんです。大々的に具体的な地名やエリアを挙げて、成果を発表することはできないのですが、徳島県動物愛護管理センターのホームページでは地域猫活動の詳細について紹介しています。興味のある方はぜひ一度そちらをご覧いただきたいですね。

ブームを背景に、ねこと人のあり方にもまた変化が見られます。以前であれば、街の風景の一つであった野良猫も、現在では社会問題になっていることが少なくありません。動物福祉の観点からも、ねこと人が互いに心地よく暮らせるあり方が求められています。
徳島県動物愛護管理センター
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