ねこねこブックレビュー【11】『猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり』廣瀬慶二/プレジデント社

一級建築士である著者が、ねこにとって快適な、ねこが喜ぶ家づくりを考える。その理論と実例集。なんで今までこういう本がなかったんだろう。目から鱗の一冊。

「建築家が本気で考えた」と表紙にある。どれくらい「本気」なのかだが、これがもう、本気も本気。ちょっと引くくらい本気。

猫と暮らす家の設計を真剣に考えるなら、何か確実なロジックを知りたいと思うのは当然のことです。(p.10)

いやいやいや! 「当然」って。フツーそこまで真剣には考えてないよ!!

どこかで見たような「猫用の何か」を普通に家に取り付けたとしても、それは「猫のために家をつくった」ことにはなりません。(同上)

わかる。わかるけど、厳しすぎ! 愛猫の機嫌をとろうと、気持ちはやってペットショップで買ってきたキャットタワーを、読者は早々にゴミとして捨てることになる。

本気の著者はケヴィン・リンチの名著『都市のイメージ』(!!)をベースに、リンチの都市分析の5つのエレメント———Path, Edge, District, Node, Landmark———から、猫のための家づくり、そのロジックをたどる。

パス、エッジ、ディストリクト、ノード、ランドマークに該当する「猫用の何か」が上手に揃うと、イメージアビリティが強くなり、猫が本来持つ行動がとりやすくなります。すなわち、フィジカル、メンタルともに健康になるのです。(p.32)

なんちゅうカタカナ率。「建築家らしさ」大盛り。本当の本気、真剣に「ねこのこと」を思い、考えているのがビシバシ伝わってくる。手加減なし。

そもそも完全室内飼いが標準、常識となった現代日本、ねこにとって「家」とは他ならぬ「街」「都市」なんですよね。人間だったらイオン行ったり、渋谷いったりするところ、ねこは一生「そこ」で過ごすことになる。本気で考えた著者が、ねこにとっての「家づくり」そのロジックを「都市」論に求めるのは必然と言える。

1章「理論編」の難易度が若干高ければ、設計士でないぼくらは読み飛ばしても構わない。それ以降の実践編では、DIY、リフォーム、注文住宅別に、使える設計アイデア、その実例集が紹介されているからだ。

実例の写真はどれも親切だし、アイデアあるし、何よりこれまた建築家らしいというか、レス・イズ・モア。シンプル、最小限に見えて、最大限の効果を発揮しているというか、必要な不規則性まで規則性からきちんと導きだしている。

おそらく多くの人にとって最も参考になるのは(実際にかかる価格帯からして)DIY編の実例ということになるのだろう。マクラメ編みを使った猫用ハンギング。賃貸でも可能な2×4材を使ったねこステップは、寸法の入った設計図付きだ。

だが、本書の真骨頂はやはり注文住宅編。「たまにはねこちゃんにも、安全に、室内にいながら屋外に出てほしい」という、むっちゃくちゃな矛盾を解消するため、ねこのためのパティオ、CATIO(キャティオ)まで作っちゃうのである。こうなると本気なのは建築家だけではない。施主の本気も試される。

これはねこ好きなら、ねこと一緒に住む人なら、絶対一度は読んでもらいたいなあ……。強くおすすめしたい一冊。

※「パティオ」とはリビングと一体型になった中庭のこと

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