ねこねこブックレビュー【10】『必死すぎるネコ』沖昌之 / 辰巳出版

「必死なネコ」ではない。「必死すぎるネコ」だ。物事何事も過ぎたるは及ばざるが如し。真剣なつもりがやりすぎて爆笑してしまったり、笑いすぎた後、なんだか切なくなってしまったり。「やりすぎ」は客観的状況との「ギャップ」を生む。そして「ギャップ」からは微笑みが生まれる。ねこは真剣。いや真剣「すぎる」。だから、そのギャップにニンマリしてしまうのだ。

タイトルの通り「必死すぎる」ねこの写真だけを集めた本書をながめていると、まず気づくことがある。ねこは「常に何かと戦っている」ということだ。

その「何か」は、ナワバリ争い中の他のねこのときもあれば、池を優雅に泳ぐカモのときもある。田んぼのザリガニのときもあるし、野を飛ぶ蝶、路上の鳩、はては自分のしっぽのときもある。置かれたシチュエーションによって「何か」は変わる。けれどもねこは常に戦っている。いたって真剣なのだ。あんなにかわいく、もふもふしてるのに。それがおかしい。

『必死すぎるネコ』はカメラマンである著者と出版元である辰巳出版編集部とでまずは書名を考え、次に(その書名に合わせて写真を撮りすすめるのではなく)過去に著者が撮りためた膨大なねこ写真の中から「必死すぎる」写真を選定する、という手順で制作されたという。言ってみれば、元からあるかわいい写真の中から、マニアックなかわいさだけにこだわり、濃縮した「ベスト盤」。だから本当に「全曲大ヒット」「捨て曲なし」なのだ。

真剣なねこたちに、後ろから遠くから、そっと近づき、ファインダー越しにその「勇姿」を捕まえる。カメラマンである著者と、被写体であるねことの距離が非常に近い。物理的な距離だけでなく、ねこが著者に完全に気を許している、警戒心をまるで持っていないようにすら感じられるのだ。

ところが、意外にも著者は「どちらかというと自分はねこに好かれる方ではない」という。だからなのだろう。ねこに好かれる、慣れてもらう、警戒心を解いてもらうためなら途方もない努力をする。何度でも同じ場所に通う。ときにはその「参勤」は2年以上に及ぶことすらあるという。2年!! 「そう考えると割の合わない仕事かもしれない」。著者はしれっとそう言うが、2年て。明らかに「やりすぎ」だろう。

そう、そんな著者の「やりすぎ」のねこ愛、感謝こそが「かわいすぎ」なねこたちの姿を捉える成功の秘訣だったりする。気づくと、本をながめる自分の眼差しも真剣そのもの、「必死すぎ」。眉間にしわ寄せ、ニヤニヤ、ヘラヘラを繰り返していたら、横にいた妻から「気持ち悪すぎ」。声をかけられた。

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