ねこねこブックレビュー【05】『ネコ温泉』伴田良輔 / 辰巳出版

犬と違って、ねこを旅に連れていくことは難しい。犬なら、たとえば、アウトドア、キャンプかなんかに連れていけば、一緒に旅行することも可能だけれど、ねこは連れ出すことそれ自体がストレスだから、旅行もなかなか思うようにならない。

けれども、そこは発想を変えてですね。旅行先で新たなねこと出会う、なんて楽しみ方がありますよねと。ねこをめぐる旅。中でも、くつろぎ、ぼーっとリラックスする「ねこ」という存在と相性抜群なのが、温泉だ。誰だ、こんな素晴らしい企画を思いついたのは。こういう取材記事書きたい。温泉入って、美味いもんを食べ、ねこと眠る。これ、すなわち、すべて取材経費である。我輩は羨ましい……。

 

って不純な気持ちで本書を手にとったのだが、そこは辰巳出版のねこ本。普通の温泉紹介本と比べて、もう明らかに笑えるくらい情報の偏りが激しい。

ねこっつったって、そこはそれ。温泉って言ってるんだから、温泉紹介してなんぼじゃないですか。温泉紹介、ってことは湯けむり、浴場の写真があり、風呂上がりの一杯、名物、晩餐、豪華な食事の写真があり、近隣の注目施設の紹介あり。なんだかんだでガイドブックしてるのだろうとタカをくくってたのだが、これまたいさぎよいくらい、ねこ以外の情報がない(笑)。

たとえば冒頭、大分は別府温泉「オーベルゼ レ・ボー」の紹介記事。全6ページ、全14枚の写真中、食べ物の写真はたったの1枚。建物の写真、浴場の写真がそれぞれ小さく1枚。あとはこれすべて、ねこの写真なのだから徹底してる。

温泉の由来だとか、泉質だとか。そんなことには目もくれず、いや、一応解説するのだが、6ページあって、そのうち大体数行しか解説しない、あとはひたすら温泉の、旅館の、名物ねこ、その物語に著者はフォーカスしていく。

このレオは、ドラマチックな猫生を歩んでいる。なにしろ天井裏で生まれたのだ。「天井から猫の鳴き声がする」というお客さんの指摘で声のする場所の天井に穴を開けたら、そこに子猫がいた。救出成功! その後、子猫の毛が驚くほどどんどん伸びてゆき、一度秀喜さんがその毛を散髪したら漫画『ジャングル大帝』のレオみたいになったので、レオという名前になった。(p.53)

これが『箱根仙石原温泉みたけ』の紹介記事だ。これだけ見せられても「温泉の話」だと当てられる人はいないんじゃないか。

温泉だから歴史もあるだろう。いわれだって、立派なものがあるに違いない。その場では著者もそんな話に耳傾け、きっちり取材もしているはずだ。でも、メインは温泉に住む猫たちとその物語。まずは何より、それを読者に伝えたいという思いからできた一冊である。

温泉、旅館、つまりは旅先。それは我々旅行者にとってはハレ、非日常の場であるわけだが、多くの旅館にはそんな非日常を日常として営む「温泉ネコ」がおり、そしてそんな1匹1匹の温泉ネコにそれぞれ全く異なる歴史があり、物語がある。自身の日常を離れ、温泉で、もう1匹のねこの日常に会いにいくのも、また楽しいに違いない。

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